春休み?そんなものあったかなかったか、よくわからない。そのくらい、毎日部活してるだけで、あっという間に終わってしまった。…それならわざわざ宿題なんて出すなよなあ。
私立の学校は先生の異動もほとんどない。ただ生徒数が多いから、知らない先生も多かったりする。しかし、一番重要なのは、この生徒数に対する…
「あ、俺、Bじゃん」
「ブンちゃんに同じく」
「またおまえかよい」
クラス替えだったりする。
この生徒数で二年連続で、同じ部活の仁王とあたる確率ってどんだけだよ。他の奴らも、各々のクラスを見つけたようだ。
「Aです。真田君も同じクラスですよ」
「幸村はCだな」
「Iとか、遠すぎんだろ…」
ジャッカルが遠いのは痛い。ちょーっとガムとかパンとか買ってもらったりすると、到着の時間が遅くなったり。
「柳は?」
柳に声をかける。たぶん、各々のクラスを…というか全生徒のクラスでもインプットしてたりして。
「俺はFだ」
ノートに書き込む手は止まることはなかった。ということは、テニス部で同じなのは、Aの真田と柳生と、Bの俺と仁王、てか。
「あ、そーいや苗字は?」
苗字の姿を見ていない。どうせクラス替えとかまったく興味ないんだろうけど。
「自分のクラスを確認し次第、教室に向かったようだな」
やっぱり。
「何組か知ってる?」
「Fだ」
Fといえば………。
柳はいつもの通り、開いているか開いていないかわからない細い目をしているだけだ。表情が読めない。
この時初めて、ああそうか、苗字とクラスメートじゃなくなったのかって、わかった。
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