「クリスマスパーティ、しましょうよ!」
切原君は、さもすごいことを思い付いたような明るい表情でしたが、周りの反応は冷たいもの。クリスマスの今日は生憎練習が一日中あるわけですし、突然言われたところでみなさん予定も合わないでしょう。
「何で誰も乗らないんスか!?クリスマスパーティっスよ、パーティ!!」
「そもそも何する気じゃ」
仁王君の言う通り。クリスマスパーティといっても、中学生の私たちに行えるようなパーティとは、せいぜい適当に集まってだらだらして…たいして普段と何も変わらないのでは。
「ケーキ…ケーキとかお菓子とか適当に貪るだけでいいんス」
「乗った」
ケーキ、といった単語にいち早く反応した丸井君によって、本格的に話が進み始めてしまう。日取りは午後練のない明後日だとか、場所は丸井君の家だとか。さすがです。
「俺と蓮二はその日は行けん。幸村の見舞いに行く予定だ」
真田君が「赤也、何だその女々しさは!たるんどる!」と切原君を叱責しないのも少し不思議ですが、まあ、彼にもクリスマスは特別な日であるという認識もあるのでしょう。柳君も頷く。
「ああ、俺たちのことは気にせず楽しんでくれ」
「じゃあ、仁王と柳生とジャッカルは参加な」
「………強制かよ」
…異論はありませんが。
ふと、いつの間にかいなくなっていた苗字さんが気になり姿を探す。既に遠くで後輩たちとランニングに励んでいるのですが。…何故、彼女も走っているのかはよくわかりません。
この話の発端には苗字さんが関係していましたし、なんとなく参加するんだと思ってしまいましたが。まあ、彼女も女性ですし、そうもいきませんね。
残念に感じたのは、やはり彼女が私たちテニス部にいるのが当たり前の人になっているからなのでしょう。
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