あの子は自由人 | ナノ

変哲のない聖なる日

 12月25日、クリスマス。

 立海のテニス部において、そんな易しい言葉は通用しない。いくら赤也がサンタさん(サンタクロース)をこの歳になっても信じ、眠れぬ夜を過ごしたせいで、朝から遅刻したとしても…許されるはずもないのである。冬休みに入って数日はしっかり練習が入ってると、弦一郎を始めとしたテニス部員から何度も念を押されていたはずなのに、相変わらず学習能力がない。

「クリスマスなのに朝からこんなに怒られるなんて…ホント、ついてねーや」
「クリスマスだからって何の特別なことはないって。諦めることだね、切原」

 何気なく溢した愚痴を、マネージャーは拾い上げ、そして冷たく返した。
 だが、しかし、だ。

「そんなこと言いながら、終業式にクリスマスデートに誘われていたのはどこの誰だろうか」
「ええ、マジっすか!?」

 このノートにはしっかり記載済み、頭にインプット済みの情報である。うちの女子マネージャーは人気が高いから、こういった情報も尽きない。終業式の始まる少し前、隣のクラスの男子生徒。そして、返事はもちろん、クリスマスの日にも部活があるから、と。

「断っていたようだが」

 そもそも何でそんなことを知っているのか、という目で苗字はこちらを見るが、もちろんそれは機密事項である。

 しかし、赤也はそんなこと聞いてはいない。実際に実行はされないものの、"クリスマスデート"といったワードのせいで、さらに落ち込みを増したようだった。

「そう落ち込むなっての」
「そーだぜ、元気出せって」

 丸井とジャッカルが肩を叩き慰める。しばらくそんな状態が続いたのだが、突然、はっと何かを思いついたように顔を上げた。これは恐らく…


「先輩、クリスマスパーティしましょう!」


 そう、赤也は言う。

 

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