あの子は自由人 | ナノ

女子じゃない

 とりあえず今朝のことは部活中に報告しておいた。苗字のあっけらかんとした態度に予想以上だね、と幸村くんは満足気に笑った。

「でもまあ、当の本人はああだけど、目の届く範囲で気を使ってやってくれ」

 ふと見ると、彼女は1年生と一緒に素振りに励んでいる。やけに綺麗なフォーム。…相変わらず自由だ。


「やはりわからん…」

 そう、眉間に皺を寄せて難しい顔をした真田が呟いた。そういや、真田と苗字が話したり、一緒にいるところをあまり見ない気がする。業務連絡はあったりするが、圧倒的に幸村くんや柳より少ない。

「女子はわからん…」

 とは言え、学校生活において、真田はクラスでも委員会でも、まあまあ普通に女子に対応していると思うんだけどなあ。

「まあ、一般的な女性だと思って対応すると、空振ってしまうことは多々ありますね」

 柳生の言葉に、なるほど、と納得がいった。
 苗字は女子らしくない。そのことは、いつも、何度も、誰でも、考えることだろう。それが俺が彼女と付き合いやすいって理由でもあるんだけど、女子を特別に扱うポリシーのある柳生や真田(真田は女子にちょっとだけ甘い)にとっては、あのイレギュラーな感じに戸惑う、という訳か。
 楽しそうにやり取りを見ていた柳がノートにさらさら何かを書いていた。それで、そのデータをどう扱うというのか。


「マネージャーが女だって考えないことっスよ」
「こら、切原くん。その言い方では苗字さんに失礼ですよ」
「でも、確かに、女だと思うと予想の斜め上を行くけど、自由人っぷりは仁王と赤也とブン太を足して3で割ったくらいじゃねーか?」
「確かに、そう言われると、なんか納得だね」
「俺ら、貶されてんの?」
「プリッ」


 まあ、とにかく、苗字は変に意識したら負けってこと。

 

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