あの子は自由人 | ナノ

期間限定いちご牛乳

 前々から思ってたのだが、苗字は結構甘党で、かつ新商品に弱い。俺もまあ同じくなのだが、俺が手に入れる前にコンビニで新商品をゲットしていたりする。

「苗字って、甘いもの好き?」
「うん、まあ好き」
「じゃあ、新発売とかに弱いの?」
「つい、買っちゃうね」

 彼女が手にしているのは、紙パックのいちご牛乳。しかし、普通のいちご牛乳とは違い、この度期間限定でホワイトチョコレート溶かしバージョンなるものが発売した。いや、俺もつい先ほどまでまったく知らなかったのだけども。

「それ美味いの?」
「私は好き」

 一呼吸あけて彼女は言った。

「飲む?」

 ずずい、と差し出されたのはそのいちご牛乳ホワイトチョコレート溶かしバージョン、そこにささったストロー。え?くれんの?それじゃあ喜んでと口をつけようと思ったけど…………え、いいのか?このまま口をつけちゃって?女子って普通こういうの嫌がらねえ?いいのか?
 柄にもなく、自分の欲望以外のものに従うべきなのか、わからなくなった。食べ物なら遠慮なくいただくんだが、いや、まあ、いいのか…。

 迷っていたら、そのいちご牛乳ホワイトチョコレート溶かしバージョンを誰かがひったくった。仁王だ。そして、そのままストローをくわえる。一瞬にして苦々しい顔に変わる。

「げえ、これはない…」

 既に仁王のストローになってしまったそれへの遠慮などまったくないので、俺も試飲させてもらった。

「美味いじゃん」
「不健康そうな甘さが良い」
「理解不能ナリ」

 

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