あの子は自由人 | ナノ

少女の降臨

 ようやくここへ辿り着いた!ずっとこの時を待っていた!!そう、昔の私はこんな日がいつか来るなんて、夢にも思わなかった。嬉しさで全身が震える。幸せ。たとえ、一度生を落としても、この幸せには敵わない!

 中学2年の2学期、ということは幸村も真田も柳も、仁王もブン太も柳生もジャッカルもみんなレギュラー確定してる頃かな。赤也はまだ可愛い1年生のはず。…だけど、編入したクラスには誰もいなかった。2年生のクラスについては前情報はないから、仕方ない。でも良い、私がテニス部のマネージャーになることが出来れば全て上手くいく!これから素敵な第二の人生、第二の青春が始まる!

「マネージャー志望?」
「はい!お願いします!」

 部室で出迎えてくれたのは知ってる顔!…というわけではなく、女の子だった。テニス部の部室にいるということは、きっとマネージャーの人。これからお世話になる人だし、しっかり挨拶をする。というよりその前に、入部させてもらえるかわからないし、きっと頑張って押しきらなきゃダメだ。

「中二?」
「はい!こんな中途な学期なんですが、転入してきたところなんです」
「あー私と同じだ。私も去年編入して来たの。だから私はもう引退してるんだよ」

 先輩のふと笑った顔が綺麗で、思わず見惚れてしまった。もう引退してるけど、こんな素敵な人がマネージャーだなんて。目的はテニプリキャラと青春するためだったけと、ますますマネージャーをやりたい気持ちが高まってくる!!

「前の学校でもテニス部のマネージャーしてました。少なからずテニス及びスポーツ全般に対する知識はあります」
「ここの部の女子マネージャーはかなり嫌がらせをされたりするから、募集してないの」
「どんな嫌がらせでも堪えられます!テニスが好きなんです!お願いします!!」

 思いっきり頭を下げる。先輩は少し考え込む。

「んー、まあ、私が抜けたことで人手も足りないし、部長に掛け合ってみるかなあ」
「ありがとうございます!」

 私の誠意が伝わったのか、先輩はもう一度笑って了承してくれた。そんな時だ。私の背中側の部室のドアが開いたのは。


「あれ?来てたんスか」

 こ、この声は…赤也だ。赤也だ!ね、念願の、テニプリキャラだ。ダメだ、落ち着け、私、会いたかったけど、中学生活は知らないフリして、マネージャーとして一緒に過ごすんだって決めてたじゃない。私よりうんと高い背、もじゃもじゃの髪、大きな目、本物の、本物の切原赤也がいる…!

「こいつは?」
「中2で、この時期に編入してきたマネージャー志望の子」
「何か去年の先輩みたいスね」

 ………会話に少し違和感を覚える。赤也は今一年生でしょ。で、この先輩は三年生で?え?

「あ、これが部長の切原。君と同じ二年生だよ」
「切原…部長………?」


 ………………あれ?

 もしかして、生まれて来る年を1年間違えた………?

 

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テーマ「人外ファンタジー」
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