あの子は自由人 | ナノ

そして入部

 そんなわけで、正式に苗字名前が立海テニス部にマネージャーとして入部することとなる。

 後輩のマネージャーに仕事を教えてもらって、最初はうろうろしていた苗字だが、ほんの数日で後輩いらずとなった。むしろ、場所など覚えてしまえば苗字の方が要領が良い。要領が良い上か…更にその上を言って、気が利く。仕事が出来る。

 そもそも、マネージャー業など所詮雑務だ。うちにはデータマン柳がいるおかげでちょっとは仕事が軽くなるが、それでも仕事は多くある。苗字はテニス初心者だから、そこまでしなくて良いのに、と思うほど。後輩マネからは早速憧れの眼差しで見られている。


 例えば、こんなことも。

 練習後、苗字は部員を集めて各選手に1部ずつ冊子を配り始めた。

「柳からもらったデータを元に、各々が弱い部分を強化するためのウェイトトレーニングメニューを作ったんで」

 自主練にどーぞ、と。
 見ればダンベルメニューから、スポーツ強豪校ならではのジムでの本格的なメニュー、おまけとかで体幹メニューまで…うわわ、なんじゃこりゃ。隣で赤也が呻いたのが聞こえた。赤也じゃないけど、レギュラーも、補欠らもみんなが驚きを隠せない。(柳は知っていたらしい)


「苗字、お前は入ってまだ間もないのに、本当に良くやってくれている」

 真田が思わず言葉をもらす。そうだ、マネージャーは仕事が片付きさえすれば選手より早く帰っても良いというのに、俺たちが終わるまで残って作ってくれたのだ。
 とはいえ、彼女はそんなことはさも気にしていないようで、いーえ、と一言だけ残して、さっさと部室へ戻って行った。


「よく、あんなの作ってもらえたな」

 柳に声をかけると、知らなかったのか?と、すごいことを教えてくれた。

「苗字は野球部の、マネージャーをしていたらしい」

 あれ、選手じゃなくてマネージャーだったの。そして、選手のトレーニングに付き合ってるときに、ジムのトレーナーからいろいろ教わったらしい、と。

 どう見ても、柳しか知らなかったみたいだけど、最高級の人材を捕まえた、と言ったところかな。本当、すげーわ。

 

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -