特に予定のない休日。
早めにお昼ご飯を済ませ、これから何をしようか考えていた。


「そういえば、この漫画の新刊が出てたはず」


明日は日曜日。今日新刊を買って、明日は一日漫画を読んでグータラしよう!と、アヤノは高校生らしくない休日の過ごし方を決め、出掛ける準備を終わらせ家を出た。

漫画を買うついでにたまには当てもなくショッピングを楽しむのもいいだろうと思い、地下街へやってきた。


目的の物を購入し、本屋を出た時。
すぐ近くで子どもの泣き声が聞こえた気がした。少し気になり、その声がする方へ足を進める。

するとそこには泣いている小さな少女と、それを見て困った素振りを見せるアホ毛の少女がいた。


「どうして泣いているの?ってミサカはミサカは尋ねてみる!」

「ふええぇ……」

「泣いてるだけじゃわからないってミサカはミサカは戸惑ってみたり……」


明らかに困っている少女を見ぬ振りもできない。


「どうしたの?誰かとはぐれちゃったかな?」

「ママ……いなくなっちゃったの……」


どうやら小さな少女は迷子らしい。


「あなたはこの子のお姉ちゃん?」

「違うよ、泣いてる声が聞こえたから来てみたのってミサカはミサカは答えてみる!迷子なら、一緒にお母さんを探してあげようってミサカはミサカは提案してみたり!」

「そうだね、一緒に探してあげようか。泣かなくて大丈夫だよ、すぐに見つかるからね。」


笑いかけると小さな少女はこくりと頷いたが、その顔から涙は消えない。母親とはぐれて相当不安なのだろう。
むやみに探し回ると遠ざかってしまうかもしれないし、とにかく不安そうな少女を早く返してあげたい。


「放送で呼びかけてもらう方がいいかもしれないね、確かあっちに……」

案内所で聞いてみようと思った瞬間、


「あ、ママ!」

「えっ!」


母親を見つけたらしい、小さな少女が駆け寄っていく。あまりにも展開が早いが、すぐに見つかってよかった。
母親にお礼を言われ、少女は抱き抱えられながらこちらに手を振った。


「すぐに見つかってよかったね!ってミサカはミサカは喜んでみる!」

「うん。泣いてる子に声をかけてあげるなんて君もえらいね!……ところで君も一人なの?」

「君じゃなくて打ち止めだよってミサカはミサカは名乗ってみたり!あなたは?」

「あ、私はアヤノ。大町アヤノ。打ち止めは誰かと一緒にきてないの?」

打ち止めなのにミサカ?と疑問に思いながらもそれは胸にしまい、再度尋ねてみる。すると打ち止めの返答を聞く前に少し離れた場所から彼女の名前を呼ぶ声が聞こえた。


「ラストオーダー!」

「あっ、噂をすれば!」


聞き覚えのある声に振り返ると、白髪の少年が杖をついてこちらへ向かってくる。


「あ、一方通行!?」

「……あァ!?なんでテメェが打ち止めといやがる!」

「えっ、いや、私はたまたまこの子と会っただけなんだけど、なに、どういう事!?」

「なになに、一方通行と大町は知り合いなのってミサカはミサカはムフフな関係を期待しつつ尋ねてみたり〜!」

「黙れクソガキ!ちょこまかと動きやがって手間かけさせンじゃねェ!」


テヘ☆と舌を出す打ち止めに一方通行はチョップをかます。


「あ、一方通行が子連れだったとは……」

「あ?」

「ナンデモナイデススイマセン」

「ミサカと大町は今大仕事をしてお疲れモードなの!だから甘い物が食べたいな〜ってミサカはミサカは可愛くおねだりしてみたり!」

「(声かけただけなんだけどね……)」

「ハァ?さっき飯食ったばっかだろォが」

「甘い物は別腹だもーん!ね、大町!あっ、あそこに美味しそうなパフェの気配がする!ってミサカはミサカは突撃してみたり〜!」


ぴゅ〜!っと走っていく打ち止めを見て一方通行は舌打ちをする。


「ったく、なンなンだァ?」

「あはは……よくわからないけど、お邪魔しちゃなんだし私は帰るね!」


一方通行と打ち止めの関係性が少し気になるが、せっかくの休日を邪魔したくないと思い、この場で別れようとした時。


「おーい一方通行も大町も早く〜!ってミサカはミサカは催促してみたり〜!」


少し先からぶんぶんと手を振る打ち止め。


「……アイツが呼ンでンぞ」

「えっ……いいの?」

「好きにしろ」

「やったー!いちごパフェあるかな!?」


思いがけぬ状況に心の中でガッツポーズをし、一方通行を置いて手を振る打ち止めの方に走る。


「打ち止めは何パフェにする?私はいちごパフェ!」

「この贅沢フルーツパフェにするってミサカはミサカは山盛りフルーツを見ながら目をキラキラさせてみる!」

「えっ!なにこれすごくおいしそう!でもいちごパフェも捨てがたい……!迷う〜!」


店外のショーウィンドウにはりつき、並んだパフェの食品サンプルを見ながら唸るアヤノと、完全に心を奪われフルーツパフェに決めた打ち止め。


「うるせェのが増えたな……」


一方通行は大きく溜め息をつきながら、二人のいる方へ足を進めた。



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