そんなこんなで放課後。
昨日の悲劇に巻き込まれボロボロになった物を新調しに行こうと思い、インテリアショップに立ち寄る。
買い物を済ませ帰宅し、残りの片付けも終え、無事にいつも通りの部屋になった。
疲れてベッドに倒れ込む。
(バイトもクビになったし、部屋も元通りだし、これから一方通行とどうやったら関われるかな。あんまりしつこいと本気でキレられそう……でもこんなチャンス逃せない……)
そんな事を考えながら、ウトウトと眠気に身を任せた。
気がつくと部屋は真っ暗。手探りで携帯を探し画面を見ると、20時を過ぎていた。寝すぎてしまった、と起き上がった途端お腹が鳴る。冷蔵庫へ向かうが今朝の事を思い出す。
「そうだ、また食べ物買うの忘れてた……」
これから食材を買って調理をするのも面倒だ。今日は近くのコンビニで済まそうと思いベッドから起き上がると、隣のドアの開いた音が聞こえる。
ドアを開けるとやはり。
「こんばんは一方通行!ドア直したんだね!ところで今からコンビニ行く?」
「……またあの店員か」
「もう店員じゃないよ。アヤノですアヤノ。私もご飯買いに行くから一緒に行きましょ!」
「自分がクビにされたコンビニ行けンのかよ」
「うっ……」
それはさすがに行きにくい。
どうしようかと考えているうちに一方通行は杖をつき歩いていく。
「ちょっと待って!違うコンビニ行こう、ね!」
「なンで俺が付き合わなきゃ、」
「あ、もしかしてあのコンビニは私との出会いの場所だからどうしても行きたいとか!?それなら、」
「ずいぶん頭のネジが外れてるみてェだな。特別につけ直してやるから頭貸せ」
「やめて目がこわい!頭蓋骨粉々にされそう!か弱き私がスキルアウトに襲われないように一緒に行こう、お願い!」
考えなしにスキルアウトに突っ込んで行く奴のどこがか弱いんだか、そんな事を思っていた一方通行は、あっちのコンビニへ行こう!といつもとは反対の方向へ腕を引っ張られ溜め息をつく。
「離せ、歩きづれェ」
「あ、ごめんごめん!」
片手に杖を持ち歩く一方通行にはとても歩きにくい体制だった。
すぐに手を離し横に並んで少し歩くとコンビニの明かりが見えてきた。
「なに買おうかな〜おにぎりにサラダでしょ、あと肉まんメロンパンクロワッサンにココアポテチ!よし、買うもの決まり!」
「どンだけ食うンだよ」
「違うよ、明日の朝ご飯と昼ご飯もまとめて買うの!」
「どォだか」
「信じて!」
そんな会話をしながらコンビニに入る。
アヤノは先程言っていたものをカゴに入れ、すぐレジに向かう。
「余計なもの買わないようにさっさと買っちゃお」
「爆発させるンじゃねェぞ」
「さすがにしないよ!」
電気や火を操れる能力者ではないのでさすがにカウンター奥のレンジを爆発させる事はない。ボタンを押しただけでレンジを爆発させるなんて事も普通はあり得ないはずなのだが。
買い物を終え、店を出て帰路を進む。
「そういえば、一方通行はコーヒーばっか買ってるよね?」
「俺が何買ったって関係ねェだろ」
「そう言われたら言い返せないんだけど……。コーヒーってコカインだかなんだかが入ってるから眠気覚ましなのかな〜とか」
「勝手にヤベェもン入れンな。カフェインだろポンコツ」
「ポンコツ!?響きが似てるからちょっと間違えただけじゃん!」
ブーブーと文句をたれるアヤノを、もちろんスルーする一方通行。
「そういえば今日はいつも飲んでるのと違うよね?」
先程コンビニで購入した缶コーヒーが、いつも見ていた物と違い目に付いて聞いてみたのだが。
「なンでわかンだよ」
一方通行の目を見てわかった。
明らかに引かれている。
「不審者を見るような目を向けないでっ!一方通行のレジ打つ時にいつも同じ物だったから覚えてただけ!」
必死にストーカー疑惑を否定するアヤノに、一方通行はどうでもよさそうにそォかよ、と短く返事をする。
「つゥかよ、お前が別の店に連れてくから同じのなかったンだよ。探して買ってこい」
「女をパシリに使うのは男としていかんぞ!そしてアヤノさんはお腹が空いているのでお家に真っ直ぐ帰宅以外の選択肢はないのです」
「使えねェな」
ほとんど一方的にアヤノが喋りながら歩いていると、あっという間に家についてしまった。
「一方通行とお話できて楽しかった!」
「俺はポンコツに付き合って疲れ、」
「だから店員でもポンコツでもないってばー!」
ぷんすかと怒りながら鍵を開け、隣の部屋へ向かう一方通行に向かい、
「アヤノ、覚えといてね一方通行!」
おやすみ!と手を振り部屋へと戻った。
「うるせェ……」
アヤノの騒がしさはアホ毛の小さいのに似ているような、そんな事を思いながら、ドアを開け部屋へと戻っていった。
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