修理が終わり、とりあえずこれでドアのない生活は終わった。荒らされた玄関とキッチン周りの掃除も軽く済ませ、少し休憩をする。
制服もドアの修理代も結構お高い。痛い出費だ……と肩を落とし溜め息をつく。
「そろそろ行くかぁ……」
もうそろそろ午前の授業が終わる。
ちょうど昼休みになるようにゆっくりと歩きながら、コンビニでお昼ご飯を購入して学校へと向かう。
学校へ着くと同時に授業終了のチャイムが聞こえた。怒られて昼食の時間がなくなると困るので、食べてから職員室へ行こうと思い小萌先生に見つからないように教室までやってきた。
教室に入って早々、声をかけられる。
「アヤノ!」
「ひゃいっ!」
「何故ちゃんと学校へ連絡を入れないの!しかもよりにもよって上条当麻になんて!」
吹寄制理。教室にも先生のような人がいたんだった。心配してくれていたらしい、怒りながらも少し眉が下がっている。
「ごめんね制理ちゃん、色々あって……でも危ない事してたとか何かに巻き込まれたとかじゃないから安心して!ほんとごめんなさいっ!」
反省しているそぶりを見せるアヤノに肩を落とし溜め息をつき、
「昼食が終わったらちゃんと小萌先生のところに行きなさい」
と、自分の席へ戻っていった。
「俺にも一言謝ってほしいもんだねアヤノくん。散々吹寄に怒られたんだからな。しかし何故にジャージ?」
次に声をかけてきたのは上条当麻。
そういえば制理ちゃん、なぜかジャージにはつっこんでこなかった。
「アヤノさんはジャージ姿も似合うでしょ!まぁこれにも色々理由があるんだけど、それよかお昼ご飯食べよう!上条今日はパンなんだね!」
「話逸らしたな……そういや大町」
「ん?」
「小萌先生が『大町ちゃんが来たらお説教なのですよ!』とかなんとか言ってたぞ」
「うっ……それ聞きたくなかった!」
パンを頬張りつつ、机の下から上条の脚をゲシゲシと蹴り八つ当たりをする。
「ええやないか〜小萌先生にお説教……変わりたいわぁ……」
「アヤノは説教なんて慣れてるだろうよ、馬鹿だからにゃー」
うわっ、私を馬鹿にしにきたな……とあからさまに嫌な顔を見せつける。
「青髪。小萌先生に怒られて嬉しいのは変態でエセ関西弁でドMなお前さんだけだよばかやろう!んで土御門くん?私は説教なんてそんなにされたことないし馬鹿なんて三ばかの一人である君には言われたくないっ!」
青髪、土御門とぎゃいぎゃい騒いでる中、一人平和そうにパンを食べている上条を見て、そりゃー!とパンを奪い取る。
「テメッ!何すんだ大町!」
「上条の食べてるパン美味しそうだから分けっこしよう!」
自分と上条の食べかけのパンを二つに割る。
「これで食べる量は変わらない。そして二つの味が楽しめる。なんてお得!」
「お前が食べたいだけだろーが!……ったく」
おバカ集団(もちろんアヤノ含む)はそんな事をしながら昼食を取っていると、教室のスピーカーから放送用の音が流れてきた。
『大町ちゃん大町ちゃん!至急職員室まできてくださいです!』
小萌先生のお怒りボイスが教室に響く。
「うげっ……仕方ない。残りのパンは青髪と土御門にあげよう、これを食べて大きくなりなさい。上条には、はい!チョコあげる!これがお詫びって事で!」
「お。後付けな気がしてならないがサンキュー」
「小萌先生の説教、後で感想聞かせてぇなー!」
「仕方ないからこのパンは土御門さんの腹の中で処分してやりますたい」
三ばかの声を聞きながら教室を出る。
職員室につき小萌先生の元へ行くと、小萌先生の第一声も聞かずに、
「ごめんなさい!」
勢いよく頭を下げる。
「わわ、大町ちゃん、遅刻の事もジャージ姿の事もちゃんと理由を言ってくれないと先生困るのですよー!」
アヤノの高速謝罪にオドオドする小萌先生。
「あ、あのですね。信じてもらえないかもですけど、私の部屋のドアが何者かに破壊されて午前中はそれを直す為に休みました……。今ジャージを着ているのは、制服も何者かにボロボロにされて、奇跡的にジャージが無事だったからという訳で……」
「えっ、な、何があったのですか!?」
案の定、普通ではない遅刻理由に戸惑う小萌先生。
テキトーに別の理由をつければ良かったと、言った後に後悔した。
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