夜が更け、学生は寮に戻りすでに就寝している人もいるであろう時間帯。
「いらっしゃいませー」
私はれっきとした女子高生であり、この時間帯のアルバイトは禁止されているのだが、学校が遠いからバレなさそうだし、店長もオーケーしてくれたし(色々小細工したのは内緒)私はこうしてレジに立っている。
お金に困っているというほどでもないのだが。
金銭面は兄に世話になっている為、少しでも負担を減らせたらなと、そんな気持ちで始めてみた。
けれど学業もありこの時間帯までのバイトは結構キツイものがあった。
授業中の居眠りで注意される事も増えたしやっぱり辞めようかな〜、なんて考えていた時。
彼が来た。
白い髪に赤い瞳、一瞬で釘付けになった。
そんなわけで彼に会う為、もう少し続けてみている。
自動ドアの開く音。
………来た。彼だ。
いつもどおりドリンクコーナーに一直線する彼に目を惹かれていると、タイミング悪くカゴを持った客がレジに来た。
(くう〜〜〜!タイミング悪いなぁ!この人の影で見づらいよ〜もう!)
なんて頭の中で考えながら、カゴに入った飲み物やおにぎりを取り出しつつ、目で彼を追う。
……と言ってもひたすら缶コーヒーをカゴに入れているだけなのだが。
「おにぎりあたためますかっ」
「あっ、はい……」
チラチラとどこかを気にしながらおにぎりを手に取りレンジに入れる不自然な行動を客は怪しんでいた。(当たり前だ)
彼を横目で見つつボタンを押す。
と。
バチバチッ
「ん?」
変な音がしたと思えば、
バァン!!
……爆発した。
「ひゃああっ!?」
自分の真後ろで聞こえた爆発音に驚くとレンジが火花を散らしながら煙をあげていた。
後ろで彼が一瞬こちらを見た。
「わっ、えっと、」
「あ、あの……あたためはいいので会計を……」
「も、申し訳ございません!」
頭を下げ、急いで会計を済ませる。
客がよけると彼が来た。無愛想にカゴを置く。こんな現場を見られてしまい、今日はついていない。
「120円が8点で960円になります……」
無言で出してきたお金を受け取り、会計を済ませる。
彼が袋を持つと、
「後ろ」
私に一言だけ言い、店を出ていった。
振り向くと二つの火花が散っていた。
「大町さん……レンジ壊したのこれで3回目だよね……?」
私は即座にクビになった。
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