時は一ヶ月前に遡る。

既に夕食を食べ終え、自分の部屋でいつもの様に読書をしていた時だった。


――ドォオォォン


と玄関の方から爆発音が聞こえ、屋敷が震えた。

途端に部屋が闇に包まれ、銃声や爆発音、悲鳴や叫び声が何処からともなく聞こえてきた。

私がその音に驚き立ち上がったのと同時に、首筋にヒンヤリとした感触。


「―…動くな」


真っ白になった思考回路。

恐怖でカタカタと震え始める体。


――殺される。


そう思った瞬間に首筋に痛みが走り、私は意識を手放した。


 ◇◆◇


「―…イ、オイッ」


軽く頬を叩かれる感触で目を開ければ、豪華な調度品が目に入った。


「やっと起きたか…」


どうやら私はソファに寝かされていたらしく、体を起こして部屋を見渡せば、黒いスーツに身を包んだ男達が私を取り囲んでいた。


「・・・っ、お父様っ!!」


縄で縛られ、いたるところから血を流して押さえ付けられている父の姿。

それだけではなく、膝をつきグッタリとしている父の後頭部には銃が付きつけられていた。

父に駆け寄ろうと立ち上がろうとすれば、知らない男に力ずくでソファに座らされてしまった。


「―…説明、して…頂けません、か…?」


精一杯に気丈な姿を装ってそう言ってみたものの、私の声は情けないほど震え、擦れてしまった。






「お前の父親は、


 ――ボンゴレを裏切った」






その言葉に、私は目を見開いた。

私の家は先祖代々ボンゴレに使えていた。

ボンゴレファミリーである事は父や私達ファミリーにとって誇りだ。

そんな父がボンゴレを裏切るはずがない。




する世界





「父が…ボンゴレを裏切る筈がないわっ!」


そう叫んでみたところで、私の叫びを聞き入れてくれる人なんて…この場所にはいなかった。



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