「ハァ〜、疲れた…」


ドサッとソファーに深く腰掛けて、いつも以上に窮屈に感じたネクタイを片手で緩めた。

皆、言葉に出してはいないものの疲れているのは一目瞭然だった。



それもそのはず、今日は“あの”ザンザスの結婚式だったからだ。結婚式と言っていいのか分からないくらい、俺のイメージとかけ離れた式だったけれど…。



俺宛てに届いた招待状を見た時、幻覚なんじゃないかと何度も自分の目を擦ってしまった。

けれど、その招待状が消える事はなく、ボンゴレ本部に俺の叫び声が響き渡った。その叫び声を聞き付けて俺の部屋にやって来た皆も、理由を知るや否や叫び声を上げたのだった。

だって、“あの”ザンザスだよっ?!

俺にしたらリボーンが結婚するのと同じくらい、ザンザスと結婚とが結びつかないんだ。

俺の思っていた事を察したらしいリボーンに銃口を向けられ、冷や汗が背中を伝っていく。


「―…それにしても惜しい事をしたな、ツナ」

「えっ?どういう…」

「ザンザスの嫁は、ツナの正妻候補でもあったんだぞ」


あんな事がなかったら…だけどな、とリボーンが続けたが、残念ながら俺の耳に入ってくる事はなかった。


え?

ええっ?

えぇえぇぇー?!


脳裏に浮かび上がるのは、今日初めて見た彼女の姿だった。

純白のウェディングドレスを着た彼女の表情を思い出した途端、なんとも言い難い気持ちになる。


――彼女から、これっぽっちも幸せなんて感じなかった。




どちらにせよしい卵





だからって、俺にはどうする事も出来ない。




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