「すんませんでしたっ!」 友達と話込んでいた俺は、今日のミーティングをすっかり忘れてしまい、気付いた時には既に集合時間は過ぎていた。 全速力で教室から部室まで走り、ドアを開けた瞬間に速攻で頭を下げた。 真田副部長のゲンコツがくるだろうと、目を瞑り歯を食い縛る。 けれど、いくら待ってみてもゲンコツが落ちてこない。 目を開けて、恐る恐る顔を上げると、目をパチパチさせている名字先輩の姿がそこにあった。 「うわぁっ?!」 予想外な人の存在に驚いて、思わず叫んでしまう。 「これからミーティングを始めるよ。その件で名字さんにも来てもらったんだ」 「・・・ッス」 カッコ悪い姿を名字先輩に見られた事が恥ずかしくて、俺は赤くなった顔を隠すように俯いた。 ◇◆◇ 「「「合同合宿?!」」」 「そう、それで名字さんにお願いがあるんだ」 「え?」 柳先輩に渡されたプリントには、【合同合宿について】と書かれていた。 全国から選ばれた学校のテニス部で、どっかの島で一緒に合宿をするらしい。 それにどう名字先輩が関係するんだ? 頭を傾げる俺をよそに話はどんどん進んでいく。 「いつもレギュラーだけで合宿をする時は、食事や洗濯とか身の回りの事は業者に頼むんだけど、今回はそうもいかないみたいで・・・」 確かに、テニス部全員参加の合宿ではマネージャーもいないし、1年が身の回りの事をする決まりになっている。 レギュラーだけの時は、合宿所の人がやってくれていた。 しかし、今回の合宿では全て自分達だけでしなければならないらしい。 洗濯はまだいいが、問題は食事だ。 このメンバーが作った飯なんて・・・想像もつかない。 つーか、食いたくねぇ・・・。 →next |