柳君が部室を出てから5分もしないうちに、「あっちー」という声と共に部室のドアが開く。 入って来たのは、丸井君と仁王君だった。 「え、な、何で名字が?」 「・・・まだ誰も来とらんの?」 丸井君は目をパチパチさせて驚いている。 一方、仁王君は一瞬だけ驚いた表情を見せただけで、何事もなかったように椅子に座った。 「柳君に呼ばれて来たんだけど、私もよく分からないの」 「そ、そっか」 「ピヨ」 3人で期末テストの出来についてや夏休みの話をしていると、再びドアが開いた。 今度は幸村君、真田君、柳生君、桑原君、そしてビニール袋を下げた柳君が入ってきた。 「む、赤也のヤツはまだ来ていないのか」 「赤也の遅刻はいつものことだ」 柳生君と桑原君は私がここにいる事に驚いていたが、幸村君と真田君は全く驚いた様子を見せなかった。 「名字さん、急に呼び出してごめんね。頼みがあるんだけど、その話は赤也が来てからにするね」 それでもいいかい?と幸村君にニッコリと微笑まれてしまったら、私は頷くしかなかった。 あんな笑顔を見せられて、断るなんて出来ません。 汗だくになった切原君が部室に飛び込んできたのは、柳君に買ってきて貰ったミルクティーを飲み始めて10分程経った時だった。 →next |