夕食後、早々にコテージへと戻った者もいれば、雑談する者、自主トレをする者と各自思い思いに過ごしていた。 「なぁ、ワイも遊びに行きたいわー」 「誰のせいで、俺等が後片付けさせられてると思っとんねんっ!」 「真面目にやったらこんなんすぐに終わるやろ」 騒ぎを起こした罰として四天宝寺のメンバーが後片付けをしていた。(連帯責任ということらしい…) 少し離れた場所では、手塚や跡部といった各校の部長が集まり、今後について話し合っている。 聞くつもりはないけれど、遠山を筆頭に四天宝寺メンバー達の声が大きくて、嫌でも会話が耳に入ってくる。 けれど、急に四天宝寺達が静かになってしまった。それはそれで気になってしまい、その場にいたメンバー達はつい視線を向けてしまう。 皆の視線の先にいたのは遠山だった。彼は黙ったままじっと自分の両手を見つめている。 「…急にどないしたん?」 「拾い食いでもしたんとちゃうか?」 途端に沸き上がる笑い声。そんな中で、遠山がポツリと呟いた。 「……柔らかかったなぁ」 さっきまでの騒がしさが嘘のように、再び静寂が訪れ、その場にいたメンバーは固まってしまっていた。 相変わらず遠山の視線は自分の両手で、呟きを聞いてしまったメンバーも思わず遠山の両手を見つめてしまう。 彼等の脳裏に浮かぶ先程のシーン。 何が柔らかかったのか、なんて聞かなくてもわかってしまう。 「なぁ、何であんなに柔らかいん?」 静寂の中、首を傾げながら遠山が再度口を開いたのと同時に、辺りは一段と騒がしくなった。 →next |