「なんというか・・・、色々とお騒がせしてすみませんでした」 なんとも重苦しい雰囲気の中、私を取り囲んでいる皆に頭を下げた。 「女性をあの様に扱うなんて、四天宝寺の方はなっていませんね」 「名字さんが悪いワケじゃないよ」 「名前ちゃんが謝る必要ないんやで、悪いんは・・・」 侑士くんの視線の先にいるのは、正座させられて四天宝寺のメンバーに説教されている遠山君。 けれど、遠山君本人はどうして自分が怒られているのかが分かっていない様だった。 「なぁ、なんでそんなに怒っとるん?ワイ何も悪い事してへんで!」 「女の子にあないな事したらあかんやろっ!!」 「そうよぉ、女の子にはもっと優しくしなきゃ」 「そうや、小春の言う通りや!」 遠山君はキョトンとした表情のまま首を傾げている。その姿に四天宝寺のメンバーはガックリと肩を落とした。 「も、もうそのくらいで…」 ビックリしたものの、別に私は怒ってるワケでもない。 というか、早く晩御飯を食べたいんです。ただ山道を歩いただけなんだけど、いつも以上に体を動かしたのは間違いなく、自分でも驚くくらいお腹が減ってしまっている。 それは私だけじゃないだろう。 この場の空気を読んで、目の前にある晩御飯を食べずに待っている他の学校のメンバーに申し訳ない。現に、妙にソワソワするメンバーが…。 「いや、そういう訳にはいかん」 「そうじゃ。本人が分かっとらん以上、分かるまで言い聞かせるだけじゃ」 「甘やかすワケにはいかねぇだろぃ?」 私の言葉を聞いて嬉しそうな顔をしたメンバーが、皆の言葉でまたうつ向いてしまった。 「……続きは夕食後でいいんじゃないか?」 「まぁ、その方が合理的だろうな」 静まり返った中に、兵が2人。手塚君と跡部君だ。その言葉に渋々納得してくれたらしく、お説教は夕食後に持ち越されることとなった。 「「「いただきまーすっ!」」」 その言葉を合図に、皆がガツガツと食べ始めた。 お腹を空かせたメンバーにはあの2人は勇者に見えたにちがいない。 →next |