「ハァ・・・やっと、着いた・・・」 「名字さん、今水を持ってくるから・・・」 ようやく自分の足で合宿場所に着いたものの、私だけが息も絶え絶えの状態。 その上、サポートするどころかサポートされてしまっている・・・。 「木陰で休んでいるといい・・・」 「俺達は他の皆とちょっと話をしてくる」 そう皆に言われて、座って木の幹に持たれかかる。 この合宿に参加している選手だけでなく、マネージャー達も忙しなく動いているというのに、私はこんな状態。 (情けないなぁ・・・) そう思いながら、私は目を閉じた。 ◇◆◇ 手元にある食料で昼食をとる事になったのだが、何故かそこには立海テニス部の姿がなかった。 「跡部、立海のメンバーが何処に行ったか知らないか?」 「ん、あぁ・・・大方名字の所に行ってるんだろう」 ――名字 それは聞き覚えのない名前だったが、ふと思い出したのは立海メンバーの中に一人女子の姿があったという事だった。 「どこか怪我でもしたのか?」 砂浜で確認を取った時にはその様な話は聞いていなかったが、合宿場所に来るまでの間に怪我をする可能性がないわけではない。 そう思い再度尋ねてみたのだが・・・、 「いや、そういうワケじゃねぇと思うが・・・」 跡部は少し考える素振りを見せて言葉を濁す。 「忍足から少し聞いただけで、俺も全てを把握してるワケじゃねぇ」 「それはどういう意味だ?」 「詳しい話なら立海の連中から直接聞いた方がいいだろう」 そう答えた跡部の視線の先には柳の姿があった。 「柳、少し話を聞きたいんだが・・・」 「すまない、手塚。その前に管理小屋の鍵を借りたい」 俺に断りを入れた後、柳は近くに座っていた橘の妹に鍵を借り、足早に去って行ってしまう。 そして、5分程経って戻ってきた立海のメンバーによって名字の事情が合宿参加者に説明されたのだった。 →next |