「なぁ、ホンマにまだ誰かおるん?」 「それを今確かめてんねん」 今もなおぐらぐらと揺れる船内を四天宝寺テニス部の部長である白石と、1年生の遠山は一部屋ずつ駆け足で確認していた。 甲板に近い部屋だった事と、一部屋に部員全員が集まっていたおかげで他の学校よりは早く対応することが出来たのだった。 その結果、こうして確認作業で(自発的に)走り回ることになったのだが・・・。 「こんな状況やしアクシデントとかで動かれへん人がおるかもしれへんやろ?せやから、こうやって・・・」 「ん〜、とにかく全部の部屋を見たらええんやな」 「・・・・・まぁ、そういうこっちゃ」 遠山にしたら、それだけ理解すれば十分だと、白石はそれ以上口にするのを諦めた。 それよりも、早くこの作業を終えて、甲板に戻るのが先決だ。 残り少なくなってきた時、白石よりも前を走り、部屋を覗いていた遠山の緊張感のない声が響き渡る。 「おったでぇーっ!」 “まさか・・・”そんな思いで駆けつけてみれば、部屋の中でグッタリとしている女の子が一人。 「オイッ!」 「・・・・・・」 「なぁ・・・、大丈夫なんか?」 いくら声をかけてみても、その女の子からの反応はない。 その様子に、遠山は心配そうな表情を浮かべている。 「大丈夫や。気を失っとるだけやから」 とりあえず、白石は遠山に彼女の傍にいるように告げて、残りの部屋を見に行く事にした。 →next |