「言っておくけど、先に仕掛けてきたのはそっちだから」


まだ横たわっている相手を睨み付けながら、私は武器であるナイフを手放した。これ以上、殺り合う気はないという意思表示の意味を込めて。

それがこの場にいる者にも伝わったらしく、さっきまで部屋中に立ち込めていた殺気が消えていく。

金髪の彼はニヤリと意味あり気に笑って、体を起こした。

まぁ、まだ警戒している者もいるようだけれど、こんな場面を見られてしまったのだから仕方がない。


「と、取り敢えず、これを着とけぇ…」


真っ赤な顔をしたスクアーロは、着ていた自分のコートを私に差し出してきた。

そこで、漸く私が裸同然の姿だと気付く。


「…どーも」


言っておくが、私は恥ずかしいとは思っていない。こんな事で動揺していたらCEDEFでの任務に支障を来す。

ヴァリアーでもそういった訓練はしているハズだが…。


「さぁさぁ、いつまでもここで立ち話もなんだから、移動しましょ」


パチンと手を叩き、クネクネしたモヒカンの男がこの部屋に集まっていた連中を部屋の外へと連れ出していく。


「貴方もちゃんと着替えてきてから来るのよ」


と、ウインクを1つ残して。

そんなに念を押さなくたって逃げやしないのに。



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