名字名前について、必要最低限な事柄を話し終えた時、ふと気付いた。


「う゛おぉぉぃ、アイツは何処に行った?」

「あら、今頃気付いたの?」

「先輩なら随分前に出ていっちゃいましたよー」


フランの言葉を聞いて、嫌な予感がした。


―『あいつはなかなかやるぞぉ…』


名字名前の実力はどのくらいなのかと聞かれて、正直な自分の意見を述べたのだが、その言葉を聞いたアイツがチョッカイを出さないハズはなかったのだ。

マズイッ、そう思って椅子から立ち上がった瞬間、殺気を感じた。

他の奴等もその殺気の凄まじさに立ち上がり、殺気に反応するように武器を手にしている。


「チッ・・・」


部屋を飛び出し、名前の部屋に向かって駆け出した。

名前の事だからそう簡単には殺られないとは思うが、相手がベルである以上どうなるか俺も分からない。

名前とベル。

仮にどちらかが、あるいは両方が死んでしまったとしたら、今度こそヴァリアーはボンゴレ本部によって潰されかねない。

いや、ボンゴレ本部だけでなくCEDEFまでもがヴァリアーを潰しにかかるだろう。

名前の部屋の扉を開けた俺の視界に写るのは、ベルの体の上に馬乗りになっている名前。

その手にはナイフが握られており、今にも振り下ろされようとしていた。

俺は反射的に剣を抜き、それを名前へと向けた。

他の奴等の足音が徐々に大きくなっていく中、剣を付き付けた俺を名前は手を止めて睨み付けている。

怪我はしているものの、2人が生きていた事に安堵したのもつかの間、名前の恰好を見た俺は顔に熱が集まる。


「な゛ぁっ!!」


かろうじて名前が身に付けているのは下着のみ。バスローブはボロボロで、ただの布切れと化していた。

固まる俺をよそに、名前はゆっくりとベルの上から立ち上がった。




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