私の事なら何を言われたとしても我慢出来る。 けれど、CEDEF―家光に関する事ならば話は別だ。 私の中に沸々と湧き上がってくる殺意。 ここが何処だとか、相手がヴァリアーの幹部だとか…そんな事は私の頭中にはなく、あるのはただ目の前にいる相手を“殺る”事だけだ。 ◇◆◇ ベルフェゴールはどこにどれだけ隠し持っているのかと不思議に思うくらい、次々とナイフを投げてくる。 急所にさえだけ当たらなければ構わない。 顔をカバーしている腕や太ももにナイフが刺さっていく。 バスローブも既にボロボロだったが、そんな事も気にはならない。 この体にはもういくつもの消えない傷痕が残っているから、今更増えたところでどうってことはない。 裸を見られる事を恥じらう心など、CEDEFに入ると決意した日に捨てている。 「・・・アンタのその顔、目障りなんだよっ!」 「ししっ、言うじゃん」 ベルフェゴールとの距離が充分に縮まったところで、私の腕に刺さったままだったナイフを抜く。 ブシュッと流れ出た血。 それに構う事なくベルフェゴールに体当たりして彼の目に向かって、ナイフを突き刺す。 いや、突き刺そうとしたが出来なかった。 「う゛おぉい、どういうつもりだぁ」 銀色の髪をなびかせながら、鋭い刃を私の首筋に向けるこの男――スクアーロが出て来たせいで・・・。 後数秒スクアーロが来るのが遅ければ、間違いなくこのナイフでヤツの目を抉れたのに。 そう思いながら、私を見下ろすスクアーロを睨み付けた。 →next [*前] | [次#] |