(私、寝ちゃってたんだ・・・)


次第にこの部屋に近づいてくる人の気配を感じ、パッと目を開けた。

あからさまな敵意は感じないが、慣れない人の気配をやたらと感じるこの部屋では、ちゃんと寝た気がしない。

カーテンを閉めていなかった窓からは、太陽の光りが入ってくる。

その光りは、泣き腫らした私の目にはキツイものがあった。

床に寝そべっていた体を起こし、立ち上がった瞬間、ドアをノックする音が聞こえてきた。


「どうぞ」


ドアから顔を背けて返事をする。

こんな顔なんて、誰にも見せられない。

私の事等気にもとめず「おはようございます」と挨拶し淡々と私の服や何かの書類、朝食を置いて、メイドは部屋から出て行ってしまった。

メイドの気配がだいぶ遠くなってから、ハァ〜と息を吐き張っていた気を緩めた。


 ◇◆◇


とある一室。

珍しい事に、朝だというのにヴァリアーの幹部が揃って朝食を取っていた。

勿論、それには理由がある。


「…で、一体どういう事なのかしら?」


一番に朝食を食べ終えたルッスーリアは食後のコーヒーを飲みながら、口を開いた。

任務を終えて帰ってきてみれば、自分達を監視する為に以前からいたボンゴレ本部の人間が全員姿を消していたのだ。


――何の前ぶれもなく。


過去に二度も本部に対して反旗を翻したヴァリアー。

それなのに本部がこんなにも急に監視を解く理由があるばすもなく、新たに10代目が就任した事もあって、ここ最近は更に監視の目が厳しくなっていたというのに…。


何かある。


そう感ぐってしまうのも、仕方ない事だった。


「いい加減、話をしろっつーの」


ベルが手に持っていたナイフを、唯一事情を知っているであろう人物に向けて投げた。

が、それをその人物は慣れたように避けてしまったので、そのまま壁に刺さってしまう。


「う"お"ぉぉい、危なねぇだろーがぁっ!」


“チッ”と舌打ちしたベルに怒鳴ってみたところで、相手は知らん顔で新たに愛用しているナイフを取り出した。

そんな反応も慣れてしまったのか、スクアーロは青筋を立てながらもグッと我慢して、また座り直した。


「それじゃあ、話すぞぉ…」


全員が食べ終えたのを確認したスクアーロは、例の“面白い話”を話すべく口をゆっくりと開き始めたのだった。



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