名前は俺達の中で一番ひねくれていて、掴みづらい人間だと思う。 幼い頃から5人で馬鹿やってても一歩離れて見ていて、俺達が気付かぬうちにフォローしていた。 それは今でも変わらない。 名前がホテルへと入っていくのを見届けてから、携帯を取り出す。 「今、入ってた」 「・・・・・そうか」 「名前の予想通りだったぜ」 それから暫くの間、お互いに無言のままだった。言いたい事、聞きたい事はあったが上手く言葉に出来ない。 少なくとも辰馬は、名前と銀八の別れを未だに受け止められていないのかもしれない。 辰馬は俺と違って2人とは長い間顔を合わせていない。 辰馬の記憶の中の2人は、付き合い始めの頃の様に笑っているのだろうか? 「・・・こがあにも馬鹿だとは」 辰馬はそう呟いた後、電話を切ってしまった。 「違いねぇなァ・・・」 それは名前を傷付けた銀八になのか、銀八と別れる決心をした名前になのか、大切な女が傷付いているのに何も出来ない俺達になのか・・・。 「それとも、俺達全員になのか・・・」 捨てた煙草を踏みつけて、車に乗り込む。 アイツらがどう思っているか知らねぇが、俺はこのまま黙って見ているつもりはねぇ。 ごっこ遊びはもう飽きた (これ以上、友達なんかやってられるか) →next |