大学進学と共に辰馬は会社を興した。

私達が大学を卒業する頃には、すでに若手企業家として有名になっていて、今ではいくつもホテルや飲食店を経営している。

そして、毎日忙しく世界を飛び回っている。

晋助と別れ、辰馬の経営するホテルへと入る。

フロントで名前を告げれば、スイートルームに案内された。


「・・・あの馬鹿」


ボーイがいなくなった後、ベッドに仰向けに寝転んだ私の口から自然と溢れた。

無理矢理にでもホテル代を払うつもりでいたのに、スイートルームだなんて・・・。

一介の公務員の私にはキャッシュで払うにはキツイ額だ。

辰馬だってそれは十分分かってるのに、あえてこの部屋を用意したのだ。


―――私の為に。


(・・・辰馬にお酒でも送っとくか)


銀八に告白された時、戸惑う私の背中を押してくれたのは、他でもない辰馬だった。

辰馬がいなければ、私と銀八が付き合うことはなかった。

だから銀八との別れを決めた時、真っ先にその事を辰馬に話したのだ。

辰馬は静かに私の話を聞いてくれて、この部屋まで用意してくれた。

これが小太郎なら、一人で大騒ぎして余計に話が大きくなってしまうだろ。

勿論、私や銀八の事を心配しての事だと分かっている。

でも正直、ちょっとウザイ。

一人で騒ぎまくる小太郎を想像していれば、フッと笑みが溢れる。

そしてそのまま瞳を閉じた。



充電切れた
(今はただ、深く深く眠りたい)



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