気が付けば、この部屋には私と銀八の2人きりになっていた。

銀八は私が話し終えた後もうつ向いたままで、何も言わない。

ただ、黙って私を抱き締め続けていた。


(・・・ねぇ、銀八。貴方はこんな私の事をどう思った?)


そう尋ねてみたいけれど、上手く言葉に出来ない。


――口を開いては、閉じる。


そんな意味のない事を、私は繰り返してしまうだけだった。

今まで私が思っていた事全てを上手く銀八に伝えられたとは思っていない。

只でさえ私は気持ちを言葉にするのが苦手なのだ。

それでも、ほんの僅かでも、私の気持ちが銀八に伝われば十分。

いつも私の隣で銀八は、そんな私の不器用な言葉を、逃す事なく受け止めてくれていた。

それだけの月日を私達は一緒に過ごしてきたのだから・・・。


「・・・名前」

「何?」



「     」



「・・・・・・・えっ?」


けれど、銀八は私を残してこの部屋から飛び出していった。



事切れた腕が泣く
(ねぇ、貴方はどんな顔で何て言ったの?)



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