昼休み、いつものようにコンビニで買った昼御飯を美術準備室で食べていると、沖田君がお弁当を片手に入ってきた。


「俺も一緒に食べてもいいですかィ?」


そう言うだけ言って、私の返事も聞かず来客用のソファーに腰掛けた。


「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」


けれど以前からそう話しをする仲でもなかったので、お互いに無言のまま昼御飯を食べる。


「あのさ・・・」


食後、沖田君から視線を逸したまま切り出した。

沖田君から返事はないが視線を感じたので、聞いてはいるんだろう。


「生徒の中で他の子達と違う視線で私を見ている子がいるのは、前々から気づいてた」


自分を落ち着かせようと煙草に火を付けて、口にする。


「勿論その視線の持ち主は女の子で、嫉妬とか罪悪感だとか・・・まぁ色々と含まれてた。それ以前にアイツがキャバ嬢だとか近所の店のバイトの子と浮気してたのは知ってたから、遂に生徒にまで手を出したんだなぁ・・・って、なんとなくそう思った」

「・・・・・・・・・・」


そこで煙草を灰皿に押し付けてから、沖田君の方へと視線を移す。

沖田君はそんな私を真っ直ぐ見つめながら、私の次の言葉を待っているようだった。


「だから、沖田君のせいじゃない。」


私も沖田君の目を真っ直ぐに見つめたまま言い切る。

沖田君は少しうつ向いてから、顔を上げた。そして口を開こうとした時、


「・・・なぁ、"沖田君のせいじゃない"ってどーいう事?俺にも分かるように説明してくんない?」


突然聞こえてきた聞き慣れた声にハッとしてドアを見れば、


「・・・銀・・・八」


もう、ここに来るはずのない人がそこに立っていた。



歪んだ微笑み
(貴方の名前を紡ぐ唇が微かに震える)



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