「・・・名字・・先生」 「土方君?」 放課後、生徒達の下校時間が過ぎてからホテルに帰ろうと校門を出れば、そこには卒業生である土方君が立っていた。 「こんな時間にどうしたの?あ、坂田先生に用事?」 「いや・・・、そうじゃ・・・」 「坂田先生ならまだ校内にいらっしゃると・・・「名字先生に会いに来た」・・・え?」 「何か用事でも?」と尋ねようとした時、土方君の視線が私の左手に向けられているのに気が付いた。 「そっか・・・、沖田君か山崎君からでも聞いたの?」 「あぁ、総・・・沖田から・・・」 気まずそうに視線を泳がせる土方君。 卒業生にまで噂が流れ、その上心配までさせてしまうという不甲斐無さに、私は苦笑するしかなかった。 「土方君、今日はこれから何か予定入ってる?」 「いや、別に何も・・・」 「じゃあ夕飯でも一緒にどう?勿論私の奢りで」 せっかくだから他に近藤君や志村さん達を誘おうかと提案してみるが、なんでも今日は2人でデートしているらしい。 高校生の頃は近藤君の一方的な片思いだった(ように見えた)のに、卒業してからの2人にどんな事があったのだろう?と考え込んでしまう。 「なら、先生と2人で行こうか」 「・・・ッス」 皆での食事は次の機会にして、土方君と2人何を食べようか等と話ながら学校を後にした。 「・・・・・・・・・」 そんな私達を見ていた人がいたなんて、私は気付きもしなかった。 そしてまた、その事が新たな嵐を巻き起こすなんて・・・。 夕焼けの世界 (あの頃よりも大人になった君がいた) →next |