銀八と別れてから一週間経ったが、私には相変わらず好奇に満ちた視線が向けられていた。


それもこれも全部、銀八のせいだ。


銀八が未だに指輪をはめ続けているせいで、《2人は別れた》→《2人は喧嘩した》というふうに変換された噂が飛び交っている。

挙句の果てに生徒から「銀八と仲直りしてやって」とか「何したか知らないけど、許してあげなよ」等と言われる始末。

銀八も銀八で私がいる事を分かった上で、「イヤァ〜、俺が怒らせちゃって・・・」とか職員室で話すもんだから、他の先生達もそう思い込んでしまっている。

最早、私が校内で落ち着ける場所は美術室と晋助がいる保健室だけだ。


一体、銀八は何がしたいのだろうか?


ヨリを戻したいとでも思っているのだろうか?


体裁が悪いから、別れたと知られたくないのだろうか?


美術準備室で一服しながら、そんな事ばかり考えていた。

以前なら銀八の考える事は手に取るように分かっていたのに・・・。

何とも言えない気持ちが渦巻く。

いつから銀八の事が分からなくなった?


「・・・・・・そんなの私が知りたい・・・よ」


銀八が私と別れてから、時々私に向ける悲しみに満ちた視線を思い出して、一人泣きそうになった。



気に入らないなら投げ捨てて
(私に貴方を捨てさせたのは、貴方でしょ?)



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