静かな空間に、心地よいジャズ、そしてシェイカーを振る音が流れる。 路地裏にあるこの店は、独特な落ち着いた雰囲気を持つ店として密かに人気の店だったりする。 土方四十郎もそんな店の雰囲気を気に入って、大学に入学したこの春からこの店のバーテンダーとしてバイトを始めた。 まぁ、それ以外にも理由はあるのだが・・・。 「あれ、何か元気なくね?」 「・・・そんな事・・・ねぇ」 元気がないワケではない。ただ、気になって仕方がない事があった。 (・・・それもこれも、あのヤローのせいだ) 昨日の晩、いつものようにバイトを終えた土方を待っていたのは、後輩からのストーカーかっ!!と突っ込みたくなるくらいの着信履歴だった。 それを見てウゲッと顔を歪めた瞬間、見計らったかのように携帯が鳴り始める。 「テメーッ、総悟!!俺になんか恨みでもあんのかっ、あ゛ぁ゛!!」 「分かりきった事を聞かねぇでくだせぇ、死ね土方コノヤロー」 「んなくだらねぇ事で一々電話してくんなっ!」 「人がせっかく教えてやろうと思って電話してやったてのに・・・、酷いヤツだねィ」 「お前「銀八と名字が別れやした」・・・は?」 その後の事は全く覚えていない。 気が付いた時にはもう電話も切れていて、いつの間にか自分の部屋のソファーに座っていた。 何かの間違いだ (そう思ってみても、諦めていた想いが溢れ出す) →next |