桜が咲く頃には


ようやく私が日常生活を送れるようになるまでには、かなりの時間が必要だった。

激しい運動(走ったりだとか)はまだ無理だけど、誰の手も借りずに普通歩く事もなんとか出来るようになった。

今はリハビリの合間に高校受験の勉強をしていたりする。

一応、大学受験を経験しているので、いい感じで捗っている。そのまま上の高校に進む侑士君は、私の家庭教師をかって出てくれた。


「ん、これやったら大丈夫やろ」

「侑士君にそう言ってもらえると安心する」

「この調子やったら氷帝でも合格できるで」


侑士君は氷帝学園という有名な超ブルジョワ学校に通っているらしい。確かに侑士君と同じ学校なら心強いだろう。


「・・・でも、学費がねぇ」

「確かに」


超ブルジョワ校だけあって、入学金&学費が他の私立と比べても桁が違いすぎる。

私が受けたいと両親に言えば快く承諾してくれると思うが、今までの入院費用や両親に対する曖昧な記憶の事が頭をよぎり、言えそうもない。

それに、私が受験する予定の高校だってそれなりに有名な私立だし一般的な学校よりお金はかかるのだ。


「・・・名前ちゃんと同じ高校行きたかってんけどな」


ポツリとそう溢した声が本当に残念そうだったので、思わず笑ってしまった。



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