屁理屈は大人の得意技


ゆっくりと振り返れば、そこにはさっきまで話題に上がっていた幸村君と柳君が立っていた。

今日1日一緒に過ごしていたから多少会話はしたけれど、仲良くなりましたー!ってわけでもなく、知らない人から顔見知りにランクアップした程度。

何故、今こうして話しかけられているのか、さっぱりわからない。いや、もしかして…


「明日のことで何かあった?」

「…いや、そうじゃなくて」


明日も雨だとかで予定変更のお知らせか何かだと思ったが、どうやらハズレたらしい。じゃあ何なんだ?と思っていたら、幸村君が私ではなく、私の後ろにいる3人に向かって口を開いた。


「…何の話しをしていたのかな?」


その声色に、彼女達はビクッと震える。


(えっ!?ちょっと!!)


そこで漸く私は自分が置かれている状況に気が付いた。

私がいちゃもんつけられていると、勘違いしちゃてる?

私達を遠巻きに見ている生徒達の視線から、私に対する気遣いというか心配そうというか、そういったものをヒシヒシと感じる。

友達が一人もいない私が、私と何も接点がなく、尚且つ目立つ3人に取り囲まれている。

端から見たら、イジメに見えなくもないこの状況。

確かに彼女達の言動は好意的じゃなかった。普通の高校生ならイジメと受け取るかもしれないけど、私はそう感じなかったし、寧ろ、あっちでの高校時代を思い出してほのぼのとしてしまったのだ。

だから、イジメも私がそう感じた時点でイジメになるんであって、今回私はそう感じてないのだからこれは断じてイジメではないのだ!

屁理屈?

そんなの私の知ったこっちゃない。


「(幸村君達が入ってる)部活の話だよ」


彼女達が口を開く前に、私が笑顔で答える。


「本当に?」

「うん、本当に」


探るような瞳で私を見つめてきた幸村君に、心配いらないよという意味も込めて、私は大きく頷いた。

知り合って間もない私のことを心配してくれるなんていい人だなぁ、なんて思いながら。



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