独りぼっち


暫くして雨は止んだものの、地面はべちゃべちゃ。

平地ならまだしも、山道じゃ散策は危ないし難しい。

だからといって、雨天時の予定も決まってはいるものの、中途半端な時間だからそれも難しい。

結局、今日はこのままホテルへと移動する事になった。

行きのバスでは「ダルいー」とか「日焼けがぁ」とか文句も聞こえてきてたけど、今は「お土産に何を買おう」とか「誰々の部屋に遊びに行こう」とか行きよりも皆のテンションが高い。

運動が苦手な私にとっても、ホテルでゆっくり出来る方が有難いのは確か。

部屋まで荷物を運んでくれた真田君にお礼を言って見送った後、ベッドに座る。

先生達と同じ部屋だからか、一人部屋にしては広い。ベッドは2つもあるし…。その1つのベッドにゴロンと横になって目を瞑ってみた。

クラスメートの部屋は下の階だというのに、この部屋まで騒いでいる声が聞こえてきた。


「…………」


なんか私、めちゃくちゃ寂しい奴じゃない?!

本当はそうなんじゃないかなぁ…と、前から薄々気付いてはいたけれど認めたくなかった事実に急に焦りを感じてしまう。


「あーっ、このままじゃダメだ!」


独り言を言ってる時点でなんかもう色々とダメな気がする。

けれど、私の頭の中は別の事でいっぱいになっているから大して気にならない。

オリエンテーリングの話で盛り上がる皆の中で、共通する思い出話がなくてポツンと一人寂しく佇む私…。

このままだと、遠足や林間、下手すれば学生時代の一大イベントである修学旅行までも私は一人…になってしまうっ!


「ヤバイヤバイヤバイーッ!!」


部屋にいたところでこの事態が好転するばずもない!と、私は財布と携帯を持って部屋を飛び出した。






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