ゴール地点で待つ事、数十分。 飲み物を渡す係となった私の視界に人影が見えてきた。 (真田君と丸井君だ・・・) 「うおぉーっ!!」と雄叫びを上げながら登山とは思えないスピードで走ってくる2人。 ・・・え?登山ってこんな必死になるもの? その後ろには、真田君に紹介されたテニス部の人達の姿もあった。 デッドヒートの結果、1着は真田君で丸井君は僅差で2着となってしまった。 スタミナね差なのか、丸井君はその場で仰向けに倒れ込んだけど、真田君は息は荒いものの寝転んでいる丸井君に「たるんどるっ!」とかなんとか怒っている。 「丸井君、大丈夫?」 「よかったらコレ飲んで」 私以外にも見学者の女の子がいるんだけど、あっという間に丸井君の側に集まりだした。 いやぁ、丸井君ってモテるんですね。 丸井君だけじゃなくて、その後にゴールしたテニス部のメンバー達にも女の子が群がっている。 その女の子達のパワーに私はただただ圧倒されてしまう。 若いっていいねぇ・・・。 タイプの違うイケメンがあれだけ揃っていたら、誰かしらタイプに該当するに違いない。 あっちの世界での私の学生時代にもあれだけのイケメンがいてたら、もっと楽しい学生生活を送れたのにっ!! こっちの世界で出会えたところで、可愛いなぁで終わりだ。 キャーキャーと胸を高鳴らせる若さ等、今の私には持ち合わせてはいない。 「名字」 「あっ、真田君。お疲れ様」 考えに浸っていた私の前には、いつの間にか真田君の姿があった。 少し躊躇ったものの、用意していたドリンクを真田君に渡した。 躊躇ったのは、真田君にドリンクを渡したがっている女の子がいるかもしれないと思ったから。 「あぁ、すまない」 そう言ってドリンクを飲み始めた真田君を観察してみた。 高校生とは思えない大人びたルックス。 近より難くて堅い感じはするけれど、話してみれば可愛い所がたくさんあるし、面倒見もよくて優しい。 あぁ、そうか。 きっと真田君に想いを寄せている女の子は、シャイな子が多くて表だってキャーキャー言えないに違いない。 そう一人で納得していた私。 そんな私を観察していた人がいたなんて、その時の私は全く気付かなかった。 →next |