途中色々と小さな騒ぎ?があったけれど、オリエンテーリングの説明が始まった。 なんでも移動や泊まりはクラス単位だが、それ以外はクラスごちゃ混ぜで行動するらしい。 ―これだけ生徒がいれば3年間で全く接点がなく、顔や名前さえ知らずに卒業してしまう。それを少しでも少なくしたい。 というのが、学校側の意図だそうだ。 まぁ、確かに部活や委員会に入っていないと、他のクラスの子と知り合う機会は少ないだろう。 しかし、クラスにさえ馴染めていない私なのに他のクラスなんて、本当に大丈夫なのだろうか? いやいや、だからこそこのチャンスを逃すワケにはいかない。 「どうしようか・・・」なんて周りが騒ぎ始めた中、“よしっ”と一人気合いを入れてみた。 ◇◆◇ 「・・・、名字、ちょっといいか?」 なんとかして友達を・・・と話しかけらる人を探していると、後ろから真田君の声がした。 「えっ?・・・どうかし・・・」 振り返った瞬間、私は固まってしまった。 そりゃ誰だって固まってしまうと思いますよ。 だって、これでもかっというくらい美形な男の子達が立っていたんだから・・・。 美形な男の子が集まると、こんなにも凄いオーラが出るもんなんだ、と一瞬戸惑ってしまった。 (侑士君といい真田君といい・・・あっ、後篠山さんといいイケメン率が高いなぁ) そんなくだらない事を考えていた私。 「名字、先程紹介したい奴等がいると言ったのを、覚えているだろうか?」 「う、うん、勿論覚えてるけど・・・」 いまだにこの美形集団に戸惑っている私の状況を察する事なく、真田君の話は続いていく。 (この人は知っている・・・) 入学式の時に、壇上に上がっていた“ヤナギ君”。 その次へと視線を動かした時、視界に入った赤い髪の男の子。 思わず“あっ!”と声を上げてしまいそうなのを、ぐっと我慢した。 これ以上余計な注目を集めたくない。 もう既に、女子からのなんとも言い難い視線を浴びてしまってるけれど・・・。 →next |