こ、これは・・・夢なんかじゃないよ・・・なぁ・・・? 今、俺の目に映るのは入試の時に出会ったアノ“消しゴムの天使”。 瞬きする間さえ惜しくて、俺は必死になって彼女の姿を瞳に焼き付ける。 あっ、ビックリしてる。 あぁっ、笑った。 「おいっ、ブン太。ちゃんと前向いとけ」 「うっせーな、俺は今それどころじゃねぇんだよぃ。邪魔すんなっ!」 「ハァ〜、ガン見しすぎだろ・・・」 会えたらいいなぁとは思っていたけど、本当に会えるとは思っていなかった。(なんせ入学式ん時も見つけらんなかったし・・・) ここで彼女から視線を逸らしたら、また彼女を見失ってしまうかもしれない。 しかし、彼女に夢中になっているあまり、その彼女の存在を知るきっかけになった真田の存在など頭の中からキレイサッパリと無くなってしまっていた。 ◇◆◇ グループを作る事になり席を立ち始めた生徒達のおかげで、俺の視界から彼女の姿が消えてしまった。 「あ"ぁっ!!・・・って何すんだよぃっ!」 折角の機会だし彼女に話しかけに行こうと歩き出そうとした時、首の辺りをグイッと引っ張っられてしまい、バランスを崩した俺はこけそうになってしまった。 「・・・・ゲッ、真田」 「俺の話を全く聞いていなかった様だな、たるんどるっ!」 俺を怒鳴りつける真田の後ろで俺を見て呆れていたり、苦笑してたりするいつものメンバー。 「悪かったよっ!!でも、説教なら後にしてくれぃ!」 そんな俺の主張が堅物な真田に聞き入れられる筈も無く、 「紹介したい者がいると言っただろうがっ!」 「はぁ!?いつそんな話したんだよぃ?・・・って、あぁっ!!」 振り返ってさっきまで彼女がいた場所を見てみたが、案の定もうそこには彼女の姿はなかった。 「あぁあぁぁーっ!!」 ガックリと肩を落とした俺に追い討ちをかけるように、真田の拳が落ちてきた。 →next |