まさに唖然・・・という言葉がしっくりくる光景だった。 突然聞こえてきた真田の声に驚いて、その声の方に視線を向ければ、真田と女子が仲良く座っている。 “あの”真田が女と一緒にいる?! これに驚かない生徒はいないだろう。 それだけじゃなく、仲良さそうに見えてしまう事が信じられず、何度か目を擦ってみたりした。 「オイ、ブン太・・・見てみろ・・・よ?」 この光景が現実か確かめる意味も込めて、俺の隣に座っていたブン太に思わず声を掛けてみれば、ブン太はブン太でどこか様子がおかしい。 大きく目を見開いたまま固まってしまっている。 「オイッ、ブン太!」 ブン太の目の前で、ヒラヒラと手を振ってみたが、反応無し。 「おーい、どうした?大丈夫か?」 今度は肩を軽く揺すってみたが、それでも反応は無かった。 (まぁ、俺も真田の2ショットに驚いたが、ここまで驚く事か?) ブン太の肩に置いていた手を離そうとした時、 「アーーーッ!!・・・モガッ」 急に立ち上がり、真田の方を指差しながら、叫んだブン太。 「急に叫ぶんじゃねぇよ!」 俺はトッサにブン太の口を手で塞ぎ、小声で注意しながら急いで椅子に座らせた。 それでもなお、モガモガと喋り続けるブン太に、いつもの様に俺は溜め息を吐いた。 一体、いつまで俺はこんな役まわりなんだ・・・? やっと赤也の面倒を見る事から解放されたというのに、俺の苦労はこの先も続きそうだ。 →next |