神谷先生の話し方が上手かったからか、またはこのクラスの人達が素直だったからか、私の事情は驚くくらいすんなりと受け入れられた。 それどころか逆に「大丈夫?」「しんどい時は言ってね」等と心配されてしまった。(というのに話しかけられた事に、喜んでしまった私) けれど、問題が1つ。 もしもの場合を考えて、私一人だけ先生達と同じ階の部屋という事になった。(しかも、一人部屋らしい) という事は・・・。 またしても私はクラスメート達と仲良くなるきっかけを失ってしまったということだ。 夜、同じ部屋の子達と"恋話"をする楽しみも(相手はいないけど)、枕投げする事も(まぁ、それも参加出来るか微妙だけど)出来ない。 (一体、私がこのクラスに馴染めるのはいつになるんだ・・・) 私が心の中でそんな事を考えているのをよそに、オリエンテーリングの話がドンドンと進んでいった。 ――ガタガタガタッ その音で顔を上げると、皆しおりと筆記具を手に移動を開始していた。 考え事に耽っていた私には事態が一向に分からない。キョロキョロと周りの様子を伺っていると、 「名字、どうかしたのか?気分でも悪いのか?」 と、心配そうに真田君が声を掛けてきてくれた。 「う、ううん。大丈夫だよ」 「・・・そうか、それならば体育館に行くぞ」 「うん」 真田君に促されて、私もしおりと筆記具を持って席を立った。 これからどうするのか分からないままだったけど、取り敢えず体育館に全員が集合しなければならないという事が分かっただけでもよしとしておこう。 →next |