「ハァ〜・・・」 残念ながら、今の私には溜め息しか出てこない。 仕事が忙しく今日も残業だった。まぁ、なんとか終電には間に合った・・・まではまだよかったんだけど、問題はそれから後の事だったりする。 確かにいい天気ではなかった。曇ってたさ。雨が降りそうだったよ。でもさ、電車から下りた私を待っていたのは、正にバケツをひっくり返したような雨だった。 折りたたみの傘を持ってたけど、あまり意味なかったカモ・・・。 横殴りに降る雨は容赦無く私をビショビショにしていく。 スーツは濡れて体に張り付くし、パンプスの中までもがグッショリ、ストッキングの濡れた感触がなんとも言い難いくらい気持ち悪い。そして、 ―――ゴロゴロ と真っ暗な空に響く雷鳴と、そのすぐ後にやって来る稲妻。 その度に足が止まり「ひゃあっ?!」っと小さな悲鳴をあげてしまう。 いつもなら10分程で家に着くのに、雨と雷と風のおかげで今日は既に倍以上の時間が掛かってしまっていた。 もうこんなに濡れてるんだから、傘をたたんで走って帰ろうか・・・。 そう思い始めた時だった。 ―――ドォオォォン さっきまでとは比べものにならない程の轟音が空気を震わせる程響いた瞬間、辺りが光りに包まれた。 それは、映画やドラマで見る爆弾が落ちたシーンを連想させた。 (・・・私、死ぬのかな・・・・・?) 徐々に光りが消え真っ暗な闇に包まれながら、そんな事をぼんやりと思った。 →next |