結局はいつもと同じ


いつものメンバーで高校のテニス部の方に顔を出した後、いつものファミレスに向かった。


「今日は遅れてすまなかった」


名字を見送った後、教室へと向かえば俺以外のメンバーは既に集まっていた。

勿論、その時も頭を下げたが、ここでもう一度改めて俺は頭を下げた。


「さっきは聞けなかったけど、理由を聞いてもかまわないかい?」


はっきりと時間を決めていたワケではないから構わないと言った後、精市は俺に理由を聞いてきた。

言っていいものかと一瞬悩んだが、面白がって言いふらすような奴らではないし、彼女の力になってくれるのではないかとも思い、テニス部の顧問でもあり担任でもある神谷先生から聞いた彼女の話をする事にした。


「俺も詳しく聞いたワケではないが・・・」


名字が交通事故でこの中学に通えなかった事や今もリハビリ中である事等を話終えると、皆神妙な顔をしていた。


「そっか・・・俺にも何か手伝えるといいんだけど」

「あぁ、そうだな」


特に精市は自分も入院生活を送っていたせいか、他人事のように思えないのかもしれない。


「そうは言っても、名前しか知らないんじゃどうする事もできんじゃろ?」

「うむ。近いうちに彼女を紹介しよう」

「・・・で、丸井君はどうしてそんなにふて腐れていらっしゃるんでしょうか?」


いつもと比べて妙に静かだと思えばそういう事だったのか、と丸井へと視線を向ければ、不機嫌な顔でストローを加えていた。

いつものような数多くの皿もテーブルにはなかった。


「・・・別に」

「あー、なんでも女子に捕まって"例の天使"に会えなかったらしい」

「だーっ!うっせーよっ!!」


フンッとそっぽを向いてしまった丸井の機嫌を直す為に、結局いつもと同じ量のメニューを頼む事となった。



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