検診が終わり待合室に向かうと、侑士君の姿が見えた。 中学生の頃から大人びていた侑士君だけど、高校の制服姿の侑士君は更に恰好よさ5割増になっている。 あっちでの私の高校時代には、侑士君の様なカッコイイ人とは全く縁がなかった。それだけに、ちょっと(いや、かなり)テンションが上がる。 侑士君も私に気付いたらしく、軽く右手を上げた。 (うわぁ、それは反則だ・・・) ここが病院の待合室だという事すら霞んでしまいそうなほどの笑みを見せる侑士君の姿に、私だけでなく周りの患者さんや看護師さんも釘付けだったりする。 「診察結果はどうやった?」 「大丈夫、問題なし」 「さよか」 それはよかったなぁと頭を優しく撫でられる。 体は同い年でも精神年齢が2X(ピー)歳の私なので、年下の男の子にこういう事をされるとかなり恥ずかしい。 「ほな、いこか」 「う、うん」 侑士君は私の荷物を持つと、次に私の手を取って歩き出す。 こういう事を自然に出来る高校生はそうはいないと思う。(というか、高校生の時点で違和感なく行動出来る侑士君はなかなかの兵だ) 「えーっと、何で・・・」 「?・・・あぁ、念のためや。途中で何かあったら大変やからなぁ」 「いややった?」とちょっと不安そうな表情で首を傾げる侑士君に、思わずキュンとしてしまう。 (カッコイイ人が見せる可愛らしい仕草、お姉さんはそんなギャップが大好物なんですっ!) なんて、心の中の叫びを表情に出さないよう気をつけながら笑顔で「ありがとう」と返しておいた。 →next |