「今日はあかんねん!」 「なんでだよっ、侑士だってテニス部に入るつもりなんだろ?」 「別に入らんとは言ってへんやろ・・・今日はこれから用事があんねん」 ハァ〜と溜め息が出てまう。 勿論、高校でもテニス部に入るつもりや。 中学時代に果たせなかった全国制覇を、あのメンバーで今度こそ果たしたいとそう思っとる。 (あかん・・・時間が・・・) 跡部だって今度こそと闘志を燃やしているハズや。という事は必然的に中学の時以上に練習は厳しくなってまうんは分かっとる。 その事に文句を言うつもりはないし、シングルスで桃城に勝ったとはいえ、今度こそは岳人と2人―そうダブルスで勝ちたいと、そう思ってもいる。 「明日行くって言うてるやん。今日はホンマに無理やねんって・・・」 テニス部に入ってしまえば、平日休日関係なくテニス三昧の日々になってまう。 せやから、今日くらいは彼女―――名前ちゃんに会いたいんや。 名前ちゃんの学校も今日は入学式で、それが終わってからオヤジの病院に検診に来る事は前から知っとった。 こんなチャンスを逃せるハズもなく、検診が終わってから会う約束をどうにか取りつける事に成功した。 (名前ちゃんの制服姿・・・、ってあかん、思考がずれてもうた) 「なぁー、侑士」 「明日必ずテニス部に顔出すから、跡部にもそう伝えとって」 「オイッ!」 クソクソと岳人のいつもの台詞が後ろから聞こえてきたが、それは聞かなかった事にして俺は病院へと向かった。 →next |