「あれ?」 真田君と二人で校門まで来てみたが、車も篠山さんの姿もない。 「どうかしたのか?」 「まだ、迎えの人が来てないみたいなの。・・・あ、真田君ここでいいよ。運んでくれてありがとう」 「・・・っ、いや、迎えが来るまで俺も一緒に待っていよう」 断ろうかと思ったが、真田君に「一人で待つのは退屈だろう」と言われ、彼の好意に甘える事にした。 彼は責任感からそう言ってくれたのかもしれない。例えそうだったとしても、私は初めてクラスメイトと話が出来て嬉しくてしかたがなかった。 待ってる間、私はいろんな事を真田君に尋ねていた。 学校についてだとか、趣味についてだとか・・・、真田君はどんな質問でも丁寧に答えてくれた。 そして、彼の中学時代について尋ねようとした時、一台の車がやって来た。 「申し訳ありません、名前様」 急いで車を降りてくるなり、私に頭を下げた篠山さん。 隣をチラッと見れば、この状況かそれともこの車にか真田君は戸惑っているようだった。 「真田君、今日は本当にありがとう」 「いや、気にすることはない」 「でも・・・」 「名字、また明日」 「・・・?!うん、また明日!」 車が走り出しても、真田君は車が見えなくなるまで見送ってくれた。 真田君の一言で、明日が待ち遠しいものとなりました。 →next |