「これから職員会議だから」と先生はどことなくぎこちない私達二人を残して、さっさと教室を出て行ってしまった。 「「・・・・・・・・・・」」 なんとなく気まずい空気が漂う。 「・・・何か困っている事はあるのか?」 そんな中、先に口を開いたのは真田君だった。 「あの・・・教科書を校門まで運ぶの、手伝ってもらえますか?」 「あぁ、構わん。だが、校門まででいいのか?」 「うん、迎えの人が来てるハズだから・・・」 「分かった」 そう答えると、彼は私の席に行き袋を持ってくれた。「私も半分持つよ」と言ったのだが、彼は「これぐらい一人で十分だ」とスタスタと歩き始めて教室を出て行ってしまった。 私は急いで自分の鞄を持ち、彼の後を追いかけて教室を出たのだが、彼は廊下で私の事を待ってくれていたのだ。 (優しい人なんだ・・・) 先生が言っていた通り、愛想はあまり良くないけれど、彼の優しいところが垣間見えてちょっと嬉しかった。 校門に向かう途中、何度も私の様子を伺い、私の歩くスピードに合わせてくれた。 真田君の不器用な優しさが嬉しくて、自然と笑顔になってくる。 「真田君って、凄く優しいね」 「そ、そんな事はない!」 そんなにムキになって否定する事ないのになぁ、と意外にも彼の反応が可愛くて思わず笑ってしまった。 →next |