取り敢えず地図を頼りに、自分のクラスへと向かった。 早めに学校に来たせいか、教室にはあまり人がいない。席は列ごとに男か女か決められいるだけで、自由に座れるみたいだ。 私は一番後ろの窓際の席に座る事にした。 窓からは校庭が良く見える。内部生は久々に会う友人と楽しそうに話している。一方、私と同じ外部生は緊張しているのが上から見ていても分かる。 (ん?) 集合時間まで後10分。私はまだ外を眺めていた。次第に騒がしくなる教室の中で、校門から慌ただしく走ってくる男の子が見える。 寝坊でもしたのか、真っ赤な髪がちょっと跳ねているのが分かって、思わずクスッと笑ってしまった。 「・・・君も合格したんだね、おめでとう」 顔がハッキリとは見えないが、体格とあの赤い髪からして試験の時の消しゴムの彼に間違いないだろう。 本当なら直接彼に言った方がいいのだろうけど、彼が私の顔を覚えているとは限らない。 だから私は、誰にも聞こえないようにこっそり呟いた。 その時、ガラガラとドアが開いた。「はい、席に着いて」という声と共に担任(だと思われる)が入って来た。 視線を担任へと向けた時、赤い髪の彼がハッと私の方を見上げたような気がした。 →next |