学校に近づくにつれて、たんだんと重くなる足取り。そして、私の口から出るため息の数も多くなっていく。

あぁ、神様。

私が一体何をしたというのでしょうか?そんなに私がお嫌いですか?

そりゃ始めは調子に乗っちゃってましたよ。だって、他のクラスの友達から「いいな〜」とか言われて、私も「いいでしょ」なんて自慢気に言っちゃったりしてました。それがそんなにいけない事だったんでしょうか?

だったら、土下座でも何でもしますから許して下さい!


 ◇◆◇


どんなに足取りが重くても、歩いていれば学校に着くワケで、私の目の前には教室のドア。


「おはよう」

「ギャアァァァッ!」


不意に肩にポンッ手を置かれ、私の口から悲鳴が出てしまった。恐る恐る振り返ると、そこにはクラスメートのかすがちゃんの姿が・・・。私の悲鳴を聞いて、眉をしかめる。


「ご、ごめん。かすがちゃんだと思わなくて・・・」

「ハァ〜・・・心配しなくても、アイツはまだ来ていない」


それを聞いて、ホッと体の力が抜ける。かすがちゃんと一緒に教室に入り、あの人がいない事を確かめてから自分の席に座る。


「名前も毎日大変だな」

「う"〜、そう思うなら何とかしてよ・・・」


まだ授業も始まっていないというのに、疲れ切ってしまった私。机に突っ伏しながら、かすがちゃんに助けを求めたが「無理だ」、そうスパッと切られてしまった。


「名前ちゃん、元気ないねぇ。俺様が慰めてあげようか?」


私が反応するよりも早く、体を起こされ、椅子ごとギュッと抱きしめられる。

猿飛佐助。

この男が、私の平穏な学園生活を粉々に砕いてしまった。

何故か分からないが、私はこの男に気に入られたらしく、毎日セクハラされまくっている。

現に今も、猿飛君の右手は私の胸にあり、左手は私の脇腹を撫でまくっている。


「イヤーッ!!」

「っ、名前を放せっ!!」

「えぇ〜、俺様ただ名前ちゃんに朝の挨拶してるだけなのに・・・」


ムニムニ サワサワ ムニムニ

猿飛君は手を動かしたままかすがちゃんと私の頭上で会話を続ける。


「放してーっ!!」



スキンシップじゃなくてセクハラです



「破廉恥でござるぅうぅぅっ!」


そう叫びながら教室を飛び出していく真田君。どうせ出て行くならこの男も一緒に連れて行ってよっ!



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