「ここが立海…」


春、桜が枚散る中一人の少女が校門で校舎を見上げていた。

たまたまその場に居合わせた学生達は、その少女に目を奪われていた。

春風でふわりと揺れる栗色の髪、ぱっちりとした目元に長い睫毛。そして、ほんのりと桜色に染まっている頬とぷりっとした柔らかそうな唇が、その少女の白い肌を引き立ている。また、スラリとした手足から彼女のスタイルの良さが伺える。

その姿はまるで美術品のようで、どこか非現実的な感じがしていた。

その少女はくすりと笑った。

何故なら、彼女はこの学校――いや、この世界に来ることを以前からずっと願っていたからだ。


「やっと会えるのね…」


ポツリと呟いた後、彼女は目的地へと歩き始めた。

そんな彼女の後ろ姿を見ていた人物がいた。

彼女が歩き出したのを視界に捉えると、その人物の口元はゆっくりと弧を描いていく。


「さぁーて、アンタの思い通りにいくかな?」






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