ジャッカル君達を暗い表情にさせる原因がわかった。けれど、その原因がわかったところで、私達にはどうすることも出来なかった。 結局、私達にはジャッカル君達を見守ることしか出来ないんだ。 ーそのことが、とても悔しい。 「手伝ってくれて、ありがとう」 「いや、気にすんな」 先生に教材を片付けるよう頼まれた私を、ジャッカル君は当たり前のように手伝ってくれた。 私達のクラスは『ジャッカル君に迷惑をかけない!』というスローガンを掲げているが、クラスの皆には私の気持ちはバレバレで、私が頼まれごとをした時は、ジャッカル君に「代わろうか?」と申し出る人はいない。 嬉しいけれど、恥ずかしくもある。 日に日にジャッカル君達はいつもの笑顔を見せてくれるようになったけれど、テニス部の様子は相変わらず――いや、寧ろ悪化したらしい。 ジャッカル君達の心情はわからないが、クラスの中でテニス部のことが話題になることはなくなった。 だから、今も昨日のテレビ番組がどうだったとか、クラスで起こった面白かった出来事だとか、当たり障りのないことについて話している。 周りの雰囲気に敏感なジャッカル君がそのことに気づいていないわけがない。 けれど、ジャッカル君が何も言わない以上、私達はいつも通りを続けるしかなかった。 「ジャッカル君、どうかし…」 不意にジャッカル君が黙りこみ、立ち止まってしまった。 「…幸村」 呟くような声で名前を口にしたジャッカル君。 一瞬、彼の顔から表情が消えた。 |