大人しくて、いつも絵ばっかり描いてた名字の事は、ちょっと苦手だった。

クラスの皆で盛り上がってても、名字は一歩後ろで眺めてただけで、皆の中に入ろうともしない。

名字が跡部以外のヤツと話してる姿なんて見た事なかったし…。

"つまんねぇヤツ…"

そんな感じだった。



少女A
についての考察 05



今思えば、それは跡部のせいだったんだろうけど…。

他のヤツはとっくにその事に気付いていたらしく、テニス部のヤツ等には「気付くのが遅い」と冷めた目で見られたりした。

クソクソ、気付くのが遅くて悪かったなー!


「…まぁ、気付かんほーがおかしいわな」

「でもさ、んな事されて名字はイヤじゃねーのかな?」


俺だったらぜってーヤダ!

なのになんで名字は嫌な顔1つせずに、跡部の言う事を聞いてんのか…、俺には全く分からなかった。


「そんなに気になるんやったら、本人に直接聞いてみたらええやん」

「…ん、そうする」

「まぁ、跡部に女がおる時しか聞かれへんやろうけどな」

「う"っ、気をつける」


"今、跡部に女いたっけ?"なんて考え込んでいた俺は、その後に侑士が呟いた一言なんて耳に入っていなかった。


「…"名前"が素直に話してくれるとは思わんけどな……」













「クソクソッ、わかんねーっ!!」


頭をグシャグシャと掻きむしった後、俺は机に突っ伏した。

宿題を忘れた俺は教師にたっぷりと課題プリントを渡された。せっかく部活が休みだから遊びに行こうとしていた俺の放課後の予定は、見事に潰れてしまった。

侑士に教えてくれと頼んでみたが、見事にスルーされるし…。


「ハァ〜…」


一向に進まない課題を前に、俺はため息を吐くしかなかった。


「アレ?まだ帰ってなかったの?」

「名字…」


突っ伏していた俺は、ハッと顔だけを名字の方へ向けた。

以前よりは名字と話すようになっていた。

テニス部で…というか跡部とつるむ事が多くなったから、必然的に名字とも一緒に話たりする事が多くなった。

名字から話しかけてくるって事は、今跡部には彼女がいるのか…。


「名字、頼む!教えてくれっ!」


いきなり拝み倒した俺に驚いたのか、きょとんとした表情の名字が、なんか可愛いかった。






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