一方、テニス部の皆様は幸村君の言葉にホッとしたらしく、場の雰囲気が柔らかくなっていった。 そりゃそうですよね、幸村君の彼女が私じゃつり合わないですもんねっ!納得いかないですもんねっ! 「嫁だなんて言うから、付き合ってんのかと思ったぜぃ」 「彼女がいること黙ってたのかと、ちょっとショックだったんすよ」 「…ピヨ」 幸村君の彼女ならもっと美人で、とか、可愛くて、とか、スタイルがよくて、とか、私を見ながらテニス部の皆様は話を進めていく。 そんなこといちいち言わなくても、十分わかってますってばっ!! 「それにしても、こんな冗談を言うなんて、幸村君らしくありませんね」 柳生君が申し訳なさそうに私を見てそう言った。気持ちはありがたいけれど、申し訳なく思うなら他の人達を止めてもらいたい。 「冗談なんて言ってないけど?」 「「「…はいっ!?」」」 私を含め、皆が戸惑ってしまった。 「え?いや、だって…付き合ってないって…」 「嫁なんだから、付き合うっていう表現はおかしいだろ?」 唖然とする私達に向かって、幸村君はきょとんとした表情でそう尋ねてきたのだった。 「大学に入ったら同棲して、色々と躾ていくつもり。まぁ、籍を入れるのは俺が就職決まってからになるけどね。あぁ、そうだ。近いうちにご両親に挨拶しに行かないとね」 ごめんなさい、幸村君のことがさっぱりわかりません。 →next [*前] | [次#] |